南月さんの迷探偵ファイル
「なぁ、楼。コーヒー入れて。」

「嫌です。」

あっさり断られる餅。


「オレの助手のくせに。」


「助手になるのは探偵になる時だけです。」


またまた、あっさり言い切られる餅。


しぶしぶ立ち上がって自分でコーヒーを入れにいった。この男、かなりのなまけものだ。


まだブツブツ言っている餅をよそに楼は口を開いた。


「そうや、餅さん。今日は依頼者が来る日ですよ。まさか忘れてないでしょうね?」


餅のコーヒーを入れていた手が一瞬止まった。


「あっ…すっかり忘れてたわ。何時から来るんや?」


やっぱりか…と思いながらも楼は答えた。

「11時からです。」


「後30分か。…面倒くさい。」


楼はこの声を無視した。

「なぁ、依頼者って男?」


「女性ですけど…」


「年は?」


「22ですね。」


すると、餅はブツブツ言い出した。もしかすると心の声がでていたのかもしれない。


「22やったら俺が口説いたとしても……ブツブツ…。」
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