南月さんの迷探偵ファイル
そんな事を喋っているうちに、おばちゃんが、うどんを運んできてくれた。


「はーい、お待ちどうさま。はい、きつねうどん。はい、たぬきうどん。それから、肉うどんとご飯ね。」


と言いながら置いて、

「ところで、お客さん。この辺の人達じゃないねぇ。どこから来たの?」
と聞かれたので、楼が


「京都から来たんですよ。」

と愛想のいい顔で答えた。


「あら、京都から!?でも、観光って時期じゃないし、こんな、何の名物もない所へ来て、誰か知り合いでも、いらっしゃるの?」


さらに、聞いてくるおばちゃん。


「三人で温泉に入りたくって、それでネットで調べたら、『懸水館』の温泉が穴場やってあったんで、来たんですよ。」


さらっと、ウソをつく楼。それでいて笑顔だから恐い…。
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