南月さんの迷探偵ファイル
餅と楼は、旅館に戻る途中、日子を見つけた。
日子は、餅達に気付くことなく、そそくさと歩いていた。
「どこに行くんでしょうね…。」
楼が独り言の様に言った。
「どこ行くか分からんけど、ちょっと後つけよう!」
餅は日子を見失わない様にしながら、距離をとりながら歩き出した。
あわてて楼もついていく。
地元の人間でしか分からないような路地に入っていった日子は、その奥で、ひっそりと開けているお茶屋に入っていった。
「なんや。店入ってしもたなぁ。しゃあない。出てくるまで、そこで見張っとこか。」
と言って、ちょっと離れた、これまた古めかしい本屋を指して歩き出した。