南月さんの迷探偵ファイル
「餅さん、日子さんはここで誰かと会ってるんですかね?ここなら、入っていく人も見えるので、ちょうどいいですね。」


楼も本屋に入りながら言った。


「そや。そこでや、楼。お前は出入りした男の顔を覚えるんや。俺は女の顔を覚えるさかい。」


餅は真面目な顔で言った。


楼はシラッとした顔で、「やっぱり、こんな状況でも、女性がいいんですね…。」と言った。



その時、一人の男が店に入っていった。

年は、40歳ぐらいの、真面目そうな男で、グレーのスーツを着ている。


その数分後、今度は女子高生が四人入っていった。

入れ代わるように、中年の着物をきた女性が二人出てきた。


「何だか、こんな風に見ていると、どの人物も怪しく見えますね。」


楼はどこから出してきたのか、メモを取りながら言った。


「まぁなぁ。でも、じっと見てたら、こいつや!ってピンとくる人間が分かるわ。」


餅はお茶屋を見たまま答えた。
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