南月さんの迷探偵ファイル
「あ、依頼者の方ですね。どうぞ、こちらに。」


と言うと楼はソファにうながした。つぎはぎだらけの…。


「はじめまして。私この事務所のオーナーの南月餅といいます。」


餅は得意気に自己紹介した。そんな様子を見ている楼はいつも笑けるのである。こんな小規模な探偵事務所のオーナーって…という具合に。


「それから、こっちの男は私の助手の小葉 楼といいます。」


あくまでも助手という言葉を強調する餅。


「よろしくお願いします。」


と、楼は餅に半分あきれながらも挨拶した。


「はあ、よろしくお願いします。」


少し圧倒されながらも依頼者の雪塚も挨拶した。



「では、本題に入りましょうか。」


餅は妙に改まって口を開いた。


「あなたのお名前は雪塚 日子ですね?」


「はい。」


「旅館を経営したはるというんですが。」


「えぇ。でも正確には、私の両親が経営していて。」


1つ1つ丁寧に質問していく。こういう事はきっちりしている男なのだ。
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