南月さんの迷探偵ファイル
涼也は初日からこんな情報が耳に入るとは思わなかったのか、びっくりしていた。
内心は、こんな情報が手に入って、ウハウハしている…。
少しすると、おばさんが口を開いた。
「でも、あそこの家庭も大変よねぇ。」
「何が、何が?」
涼也が興味しんしんで聞いた。
「あのね、銀二郎さんと前の大女将の間には、息子さんがいたんだけどね。銀二郎さんが、純子さんと再婚するって言ったら、すごく反対したらしくてね。銀二郎さん、必死に説得したみたいなんだけど、それも無駄に終わって、手紙を残して出て行ってしまったそうなのよ。」
おばさんがお茶をちょいちょい口にしながらしゃべった。
「息子さんが…。」
と涼也は驚きながら、何でおばちゃん、こんなに懸水館の事知ってるんやろ?と不思議に思った。
「なぁ、おばちゃん。何でそんなに詳しいの?」
「ウワサよ、ウワサ。」
おばさんが、あっさり答えた。あまりにあっさりしていたので、ずっこけそうになった。