南月さんの迷探偵ファイル
「餅さん…。」
「んー?」
「さっきはすいません。俺すごい腹立つ言い方しました。」
楼が餅の方を見て謝った。
「もう、ええよ。何も怒ってない。」
餅が前を見ながら言う。
「ほんまですか?…俺、さっき餅さんがどこにいるか分からへんって聞いた時、ものすごく不安になって、あわてて旅館飛び出したんです。…そしたら餅さん、普通にのん気な顔して帰ってくるから、安心したんと、何でこの人はこんなのん気なんやっていうイライラと…。ほんまに、あんな言い方してすいません。」
「分かった、分かった。もう謝らんでええて。せっかく東京まで来てんねんから、明るくいこうや!」
と餅は、優しく笑って、楼の頭をポンッとたたいた。
「餅さん。……変な意味じゃないですからね。」