季節の足跡

確かに、ウェルスはオレの故郷。


あの頃に比べたら、今のウェルスは何万倍もマシ。


…だけどさ。


「オレは君に仕えたいから、ここにいるの。どっか行けとか言われたら、グレるよ」


君がいるこの国が。


ここが新たな、オレの出発点。


「まぁ、どっか行けって言われても、絶対行かないけどね」


そう笑って答えたあと、オレは目の前の光景に気づき驚いた。


「ア、アズロ―――…」


「ちょっと、待っ…!何で君泣いてんの!」


ボロボロと涙を流す女王サマは、「だってー…」と言って涙を拭う。


「アズロ…ウェルスに帰っちゃうんじゃないかって…」


「へ?」


「あたしといても疲れるだけだろうし…話しかけても上の空のときあるしっ…」


いやいや、ぼーっとしてんのはいつものコト。



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