季節の足跡
「………きゃあ!」
どんっと勢いよくぶつかって、私の手からじょうろが離れる。
私が尻餅をつくのと同時に、バシャッと音がして、じょうろが床に落ちて転がった。
ぽたりぽたりと水が滴り落ちる音が小さく響く。
床に出来た小さな水溜まりに映る姿を見て、私は素早く顔を上げた。
「―――ウィン様…」
濡れた前髪をかきあげるそのひとは、私を見てため息をついた。
「…またあんたか…」
「えっ」
途端、血の気の引く音が聞こえるくらい、真っ青になる私。
…そういえば。
ついこの間は、急いで運んでいた食事をぶちまけてしまったような。
慌てて私は立ち上がると、何度も頭を下げる。
「すっ、すみません!私、ぼーっとしててっ!」
顔の熱がどんどん上がっていくのが、自分でもわかった。