季節の足跡
恥ずかしい、恥ずかしい!
ぎゅっと目を瞑ると、頭上から降ってきたのは怒号ではなくて。
「………くくっ」
なぜか、笑いを押し殺したような声。
私は涙目になりながらも、恐る恐る顔を上げた。
「あの…ウィン様?」
「…あんた…必死になりすぎだろ」
お腹を抱えて笑いを堪えるウィン様の姿を、私はポカンと口を開けて見る。
ウィン様のこんな表情…初めて見た。
とくん、と小さな音を立てて動き出す心臓。
その音は次第に大きくなり、私の心を支配する。
「あんたさ、そのうち大事故引き起こすぜ」
まだクスクスと笑いながら、ウィン様は私に向かって言った。
でも、その言葉は私の耳にあまりた届いていなくて。
私はただ、そのウィン様の表情に見惚れていた。