季節の足跡

私は、ウィン様が好き。


きっかけは、ほんの些細なこと。


私が階段から落ちそうになったとき、助けてくれたから。



でも、それだけじゃなかった。


ウィン様の優しい視線の先にいたのは、ルチル様。


ウィン様はルチル様が好きなんだ、と気づくのに、時間はかからなかった。



ルチル様とライトさんが楽しそうに話す姿を見る、ウィン様の寂しげな横顔に。



―――私は、恋をした。



届かない想いを抱くウィン様に、私は届かない恋をしたの。


溢れる想いを堪えて、ルチル様に接するウィン様。


時折見せる、寂しげに細められた瞳。


…その全てが、好きだなって感じた。



完璧に見えて、完璧じゃない。


弱さを隠して強がるウィン様の傍に、いたいと思った。



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