季節の足跡

「そこの君!それを書庫に運んどいてくれ!」


「…はぁい」


あたしは指示通り、数冊の本を抱え、書庫へ向かった。


気分はもう、どん底。


「はぁ―――…」


大きくため息をついて、書庫の扉を開ける。

開けた瞬間、あたしは手に持っていた本をバサバサと落とした。


…え、幻覚?


その音に気づき、書庫の先客がこっちを向いた。


「…あ…君は…」


「きききっ、キラ長官!?」


幻覚じゃない!!


あたしはそこで、本を落としたままなことに気づき、慌てて拾う。

拾い終わり、あたしはもう一度キラ長官を見た。


「…お、お久し、ぶり、です」


「…そんなに緊張しなくても」


クスクスと笑われ、あたしは顔が赤くなる。


「どう?書籍部の仕事は」


あたしはしばらく考えた後、正直に答えることにした。


「…疲れるし、大変です…」



< 11 / 142 >

この作品をシェア

pagetop