季節の足跡

ルチル様は笑顔で私に駆け寄ってくると、明るい声で言った。


「お花、綺麗に咲いたわね!」


結婚式を控えたルチル様は、私に沢山の花を育てて欲しい、と頼んできた。


花のアーチとか、いろいろ作りたいから、と。


もちろん私は快く了承し、毎日大切に育ててきた。


「まだまだ美しく咲く花がありますから、楽しみにしていて下さいね」


ルチル様につられて笑顔でそう答えると、背後からかけられた声。


「てーめぇ、何やってんだ!」


私の体は正直で、その愛しい声に、どきっと反応してしまった。


「げっ!ウィン!」


「げって何だ!ちょろちょろ動き回るのやめろっつの!」


あからさまに嫌な顔のルチル様に、不機嫌な表情を浮かべたウィン様。


ズカズカと近寄ってくるウィン様を、私はどきどきしながら見つめた。


―――でも。


「おら!執務室帰るぞ!」


「ウィンの鬼ーっ!」



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