季節の足跡
キラ長官は、だよね、と笑って席を立った。
「…散歩しようか!」
「…え?」
ぽかぽかと、暖かい日差しが体に染み込む。
「…き、キラ長官…」
「ん?」
「これって…サボリですか?」
あたしとキラ長官がいるのは、中庭のベンチ。
そこに座って、問いかけるあたしを見てから、キラ長官は空を仰ぐ。
「こんなにいい天気だしね」
………認めた!?
仕事途中に抜け出していいの!?
あたしは、だらだらと冷や汗を流す。
「気分転換は、必要だよ?」
その笑顔を見て、胸の奥が疼く。
―――やっと会えた。
その気持ちが、膨らんでゆく。
「あ、の」
振り向いたキラ長官を、真っ直ぐに見つめる。
「この前は…ありがとございましたっ」
言い逃げのごとく、礼をして顔を伏せたままにした。