季節の足跡

†††

眩しいくらいの純白のドレス。


金紗の羽織りもの。


ふんわりと巻いた髪に、いつもより濃いめのメイク。



ミカのおかげで、あたしはすっかりと別人になった。


「お綺麗です、ルチル様」


「あ、ありがと」


何か照れくさくて、目の前の鏡に映る自分の姿が見れないあたしは、足元を見つめた。


「あ、ルチル様!俯かないで、胸を張って下さいっ」


ミカに「そうしないとセットが崩れてしまいます!」と注意され、あたしは渋々と顔を上げた。


ちょうど、そのとき。


「ルチル!」


部屋の扉を勢いよく開けて、長く艶やかな金髪を靡かせながら、笑顔で入ってきたのは、


「…アルファ!」


サヴァ国女王、アルファ。


「おいアルファ、うるさいぞ」


その後ろから、気難しい顔をして部屋に足を踏み入れたのは、ネスタ国国王、ジーク。



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