季節の足跡

「大丈夫だよ。式は夕方からだし…」


「じゃあ俺は、早く来すぎでしたか?」


…扉の奥に見えたのは、紛れもなく、あたしの…大好きなひと。



「………ライト!」



ウェルス国第二王子、ライト=ディアン。


あたしの、元護衛。


そしてあたしの…結婚相手。



正装したライトは、いつにも増してかっこいい。


黒のタキシードに、オールバックの髪型。


…やばい。

倒れそう。


「ルチル様?」


「かっ!かっこいいねッ!!」


きょとんとした顔で、あたしの名前を呼んだライトに、思わず本音が零れた。


するとライトは一瞬驚いたあと、すぐに笑った。


「ルチル様は、たいへんお美しいですよ」


「んなッ!!」


すぐに真っ赤に染まるあたしの頬。


笑顔でサラッと言うところが、何とも憎たらしい。



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