季節の足跡
はは、と笑うライトに、あたしは顔をしかめる。
「じゃあ、いつになったら"姫様"って呼ぶのやめるの?」
いつだってそう。
ライトはいつまでもあたしに敬語だし。
"姫様"って呼ぶし。
…何か、嫌なんだもん。
不意に、ライトが足を止めた。
「…ライト?」
半歩遅れて、あたしも立ち止まる。
「姫様からキスしてくれれば、敬語も"姫様"もやめます」
にっこりと笑うライトは、サラリととんでもないことを言い放った。
「………は!?」
―――キス!?
「今まで、姫様からしてくれたこと、一度もないじゃないですか」
…ないけど。
確かにないけどっ!
「無理無理無理ーッ!恥ずかしいッ」
ぶんぶんと頭を横に振るあたしに、ライトの視線が突き刺さる。
あ―――、もうっ!
そんな顔で見ないで!!