季節の足跡

「言ってることとやってること、逆じゃない!」


「…姫様がしてくれなかったからです」


「なッ!? ライトが避けたんでしょッ!?」


恥ずかしさの余り、喚くあたしに、ライトは渾身の笑みを浮かべた。



「結婚式でのキス、楽しみにしてますね」



…この悪魔―――ッ!!


絶対確信犯だよ!?





どうなることやら、結婚式…!!





†††

沈む夕日が、辺りを茜色に染め始めた頃。


高らかなトランペットの音が、式の始まりを告げた。



『それではこれより、ルチル様とライトくんの結婚式を行います』



アゲートさんの声が、拡声器を伝わって響くと、拍手が沸く。


「姫様」


「………何」


「緊張、してますか」


「………してないほうがおかしいわよ」



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