季節の足跡


たくさんの人の、大きな拍手と歓声に迎えられながら、あたしとライトは花のアーチをくぐる。


そして、大広間の中央をゆっくりと歩き始めた。



通り過ぎるときに目に映る、みんなの笑顔。


それを見ただけで、何だか泣けてきた。


「姫様、笑顔を忘れずに」


そんなあたしにいち早く気づいたライトが、そう声を掛けてくれた。


だからあたしは、自然に笑うことが出来た。



壇上に上がり、あたしとライトは客席の方を向き、軽く礼をする。


再度拍手が沸き、徐々に静まっていった。



アゲートさんからマイクを受け取ると、あたしは口を開いた。


「…皆さん。本日はあたしとライトの結婚式にご出席いただき、誠にありがとうございます」


静まり返った大広間に、あたしの声が響く。


「皆さんには本当に…感謝しています」



< 129 / 142 >

この作品をシェア

pagetop