季節の足跡

†††

その事件は、突然やってきた。


あたしが副長官になって、二週間後のこと。



キラ長官が、失踪した。



あまりにも突然で。

あまりにも信じられなくて。



伝令部が長官室を調査している間、あたしはただ茫然と立ち尽くしていた。


…そんなの、嘘だ。

どうしてキラ長官が、急にいなくなっちゃうの?


あたし…何も聞いてないのに。

何も言ってないのに…。


「…ロード!」


名前を呼ばれて、期待をして振り返る。

けど、そこにいたのはダン隊長だった。


「ダン…隊、長…」


「キラがっ…キラがいなくなったって本当か!?」


あまりの気迫に、あたしは一歩後ろに下がる。

こんなに取り乱したダン隊長は、初めてだった。


でもあたしは、その問いに頷くことができなかった。

認めたく、なかった。




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