季節の足跡

………ナルホド。


その言葉を聞いて、俺はピンときた。

どっかの誰かサンが何か盗み、見つかり、逃亡中ってわけね。


「どけどけ―――!!」


盗人はかなり必死に逃げてるようで、誰を突き飛ばそうがお構いなしだった。


「…見てて気分悪ぃよなぁ」


俺はぼそっと呟くと、盗人の行く手を阻むように、狭い表通りの中央に立つ。

そんな俺の姿が目に入ったのか、盗人は俺に向かって叫んだ。


「どけッ!小僧!!」


バカにすんなよ。

俺はもう15だ。


盗人が突き出した腕を、俺はひらりと避けてからつかんだ。


「……なっ」


盗人が驚きの声をあげるが、もう遅い。

俺と出会ったのがてめーの運の尽きだ。


俺はつかんだ盗人の腕を、そのまま盗人の背中に向かって締め上げた。



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