季節の足跡
「いってえぇぇ!!」
盗人が苦痛に呻くが、自業自得だ。
その光景を見ていた周囲の野次馬から、俺は大喝采を受けた。
俺がまんざらでもない気持ちでいると、すぐに一人の男が駆け寄ってきた。
「いやー、悪いな!お手柄お手柄!」
かなり鍛え上げられた体型に、切りそろえられた短髪。
その男の姿を見たとき、喧嘩強そうだな、とか思ってしまった。
「…あー、別に。じゃ、」
「うぉ!? 待てって!!」
面倒ごとに巻き込まれたくなかった俺は(つい盗人つかまえちゃったけど)、男に盗人を引き渡し、足早に立ち去ろうとした。
…が、強く腕を握られた。
「いってぇ!何すんだッ」
握力半端ねぇじゃん!
…と涙目になりつつも、俺は男を振り返る。