季節の足跡
「お前、気に入ったぞ!戦闘部の素質がある」
「いや、素質って…痛ッ!だから痛ぇって!」
右手に盗人、左手に俺をつかんだ戦闘部隊長は、鼻歌を歌いながら歩き始める。
いくら抵抗しても、相手はびくともしない。
未だ必死にもがく盗人の気持ちがよくわかってしまった。
周りにいた野次馬は、なんだなんだとざわつき始める。
「あの少年もグルか?」なんて呟き声が聞こえてきた。
「俺は、何もしてねぇっ…て、どこ行くんだよ!」
「ん?城だけど」
「ふざけんなッ!俺は戦闘部なんか入るつもりはっ…」
「そんなの、わかんねーじゃん?」
…何を言ってもダメだ。
がっくりと肩を落とした俺は、なされるがままに城へと足を進めて行った。
…そう。
この出来事がきっかけだったんだ。