季節の足跡
†††
城門をするりと通過し、戦闘部隊長は門番に盗人を引き渡した。
そのまま、俺は大きな広場に連れて行かれた。
広場の中央に立った戦闘部隊長は、俺と向き合い、ニッと笑った。
「よし、やるか!」
「………は?」
やるって、一体何を。
顔をしかめた俺を見て、戦闘部隊長は拳を俺の目の前に突き出した。
「喧嘩、するか」
「………何で」
「お前、喧嘩慣れしてるだろ?」
確かに、喧嘩は日常茶飯事だし、負けたことはない。
…けど今ここで、喧嘩売るか?普通。
せっせと柔軟を始めた目の前の戦闘部隊長、俺は呆れて見ていた。
…本気…っぽいよなぁ。
だったら、シカトするわけにもいかねぇし。
それに、戦闘部隊長。
どれほどの強さなのか。