季節の足跡
「…くっ、そ…」
俺が最後に繰り出した右手も、あっさりと避けられた。
そのまま、俺は体勢を崩し地面に倒れた。
「…デュモル」
目の前に、戦闘部隊長の気配があった。
けど俺は悔しくて、顔を伏せたままでいた。
「戦闘部に、入らないか」
言われた言葉が信じられず、俺はつい顔をあげてしまった。
相変わらず、戦闘部隊長は笑顔だった。
「やっぱ素質あるよ、お前」
「………嘘つけ」
素質ある?
どこがだよ。
こんなボロボロになって。
一発も相手に喰らわせられない。
かっこ悪い以外の何ものでもないじゃんか。
「お前が何で俺に勝てないか、わかるか?」
誰にだってわかる質問をされ、苛立ちを感じながらも、俺は答える。
「経験の差だろ」