季節の足跡
「ちょっと、違う。護るだけじゃないんだ。護る為にたたかう」
「…さっぱり違いがわかんねぇんだけど」
結局は、護る=たたかうってことだろ?
戦闘部隊長は、困ったように頭をかいた。
「難しいんだよなぁー説明…。例えば、お前のその右手」
戦闘部隊長はそう言うと、俺の右手を指差した。
「お前はきっと、相手を負かす為だけにその拳を奮ってきたはずだ」
俺は無意識に、右手見た。
「相手は傷つき、結局はその拳も傷つくんだ。得られるものは何もない。"勝ち"なんてオマケにすぎない」
その言葉が、心の傷を疼かせる。
いつからか、気づいていた。
人を殴ることに、意味がないことぐらい。
「だから、護る為に拳を奮うんだ。護るモノは何でもいい。人、物、気持ち…自分自身。何でも、だ」