季節の足跡

「護る…為に」


俺は、ただその言葉を繰り返した。


「そ。護る為にたたかうことで、強くなれる。勝った後に得られるモノは、護ったモノなんだ」


赤く染まった空を仰ぐ。

その赤は、今までに俺が見てきた血の色のようだった。


「護衛部は、防戦一方だけど、俺たちはとにかく攻める。何かを護る為に」


これほど、これまでの自分の行動を後悔したことはなかった。

相手に勝つことだけを考えてきた俺は、一生この人には勝てないと感じた。


………強くなりたい。


「俺を…戦闘部に入れてください」


振り絞って出した声は、意外にもしっかりとしていた。

相手の瞳をしっかりと捉え、目をそらさなかった。


一瞬の沈黙の後、戦闘部隊長はニッと笑った。


「…もちろん!」





この人を信じたい。


もう真っ白に、消したくなかった。



< 41 / 142 >

この作品をシェア

pagetop