季節の足跡
「護る…為に」
俺は、ただその言葉を繰り返した。
「そ。護る為にたたかうことで、強くなれる。勝った後に得られるモノは、護ったモノなんだ」
赤く染まった空を仰ぐ。
その赤は、今までに俺が見てきた血の色のようだった。
「護衛部は、防戦一方だけど、俺たちはとにかく攻める。何かを護る為に」
これほど、これまでの自分の行動を後悔したことはなかった。
相手に勝つことだけを考えてきた俺は、一生この人には勝てないと感じた。
………強くなりたい。
「俺を…戦闘部に入れてください」
振り絞って出した声は、意外にもしっかりとしていた。
相手の瞳をしっかりと捉え、目をそらさなかった。
一瞬の沈黙の後、戦闘部隊長はニッと笑った。
「…もちろん!」
この人を信じたい。
もう真っ白に、消したくなかった。