季節の足跡
特に進展もないまま、半月が過ぎた頃。
その一報は、またもや城内を震撼させた。
"書籍部長官・キラ死亡"
信じられないのは、誰もが同じだった。
特に仲の良かった俺たちは。
「…俺、退職するから」
不幸の知らせは、連続して届いた。
俺とセドニーに、ダン隊長はそう告げた。
「何…言ってんですか!!」
「ダン隊長!!考え直して下さい!!」
必死に説得する俺たちの言葉を、ダン隊長は聞こうとしなかった。
ただ、首を横に振るだけ。
「護るためにたたかうんですよね!? その為にこの城に入ったんじゃないんですか!!」
「…俺が護るべきモノは、もうなくしてしまったんだ」
そう呟いたダン隊長の瞳には、もう"たたかう"という意志がないように思えた。
…悲しかった。
「…ごめんな」
その言葉を最後に、ダン隊長は俺たちの前から永遠に姿を消した。