季節の足跡

あたしの母が再婚して、三ヶ月経ったその日、あたしは何となく城下町を歩いていた。


買いたいものがあったわけでもない。

ただ、一人で歩きたい気分だった。


だから、遊ぼうってすがりついてくるユナの手を振りほどいてまでしてやって来た。



城下町は、いつ来ても賑わっている。

その賑やかさが、あたしにとっては丁度良かった。


あたしはいつもの散歩コースをゆっくりと歩いていた。

角を曲がろうとした、その時。


「………きゃっ」


「…っと…」


誰かとぶつかって、あたしは尻餅をついた。


「ごめん、大丈夫?」


頭上からかけられた声に、あたしは顔を上げた。


その姿を見た瞬間、言葉を失った。


燃えるような真紅の髪が、風になびいて揺れていた。

今までに見たことのない綺麗な髪に、あたしはただ見惚れていた。


「本当に大丈夫?どこか怪我…」


うんともすんとも言わないあたしを心配してか、目の前の男の人は眉根を寄せた。



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