季節の足跡

†††

十年。

長いようで、短かった。



今の俺には、護りたいものがたくさんある。

昔の俺から見たら、信じられないほどに。


…感謝したい人は、今近くにいないけど。

大丈夫、記憶にしっかり焼き付いてる。



これから先、真っ白に消えてくやつなんかいないんだろうなぁ。

そう考えると、自然に顔がにやけた。



「…気持ち悪いぞ、デュモル」


「ほっとけ」


悔しいことに、俺の一番記憶から消したくないやつは、隣で失礼なセリフ吐くやつだ。

…んなこと、絶対言わねーけど。


「…なぁ、久しぶりに誓い立てねぇ?」


「…何に?」


「ん―…、"この国を護ること"に」


「いいぞ」


俺の突然の提案に、セドニーは意外とアッサリ頷いた。


―――誓い。


ダン隊長から受け継がれた、その方法。



護る為に奮う拳に誓いを立て、俺たちはその拳を天にかざした―――…





-白の記憶 side:デュモル end-




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