季節の足跡
小さい頃から、書物を読むことが好きだった。
苦手なものは、人付き合い。
毎日本を読み、外で遊ぼうとしなかった私を、周りは変わった目つきで見ていた。
やがて私は"変人"と呼ばれるようになった。
周りは私をまるで空気のように扱った。
初めからそこにいないように。
不思議と、悲しくはなかった。
今思えば、やはり変だったのかもしれない。
ただ、私は自分から動こうとはしなかった。
諦めていたのかもしれない。
もしくは…勇気がなかったのかもしれない。
その頃から私は、気配を隠すのが上手くなった。
周りがそう望むなら、真っ白に消えても構わないと。
本気でそう思っていた。