季節の足跡
「おい変人、毎日毎日本読んでて楽しいかぁ?」
私は、ため息をついて本を閉じた。
―――またか。
目の前には、ニヤニヤとこっちを見ている同い年の男子の集団。
そのうちのリーダー格の男が、私のすぐ目の前まで来る。
「おい、無視かよ?」
木陰で座って本を読んでいた私は、その男に見下ろされ、顔を上げた。
毎度毎度、飽きないものだな。
「…無視ではない。もう何回もその質問をされているから、答えがネタ切れだ」
ネタと言っても、「ああ」とか「楽しいぞ」とか、普通の言葉なのだけれど。
目の前の男(周りからリーダーと呼ばれている)は、思い切り顔をしかめた。
「…んだと?」
「私に構うより、本の一冊でも読んだらどうだ?」