季節の足跡
驚いた顔のデュモルに、私は懸命に話した。
「傷つけた痛みを知った分、人は優しくなれる。悔やむことは、悪いことじゃない」
「………」
「私は、お前が羨ましい」
…正直な気持ちだった。
私にないものを、デュモルは持っている。
私がずっと逃げてきたものに、デュモルは向き合っていたんだ。
羨ましいと同時に、悔しいと思った。
「…っ、あはは!お前面白い!!」
大声で腹を抱えて笑い出したデュモルを、私は睨んだ。
「…笑うところじゃないぞ」
「いんだよ!つか、お前も笑っとけよ!」
「余計なお世話だッ」
この日を境に、私とデュモルはよくお互いの気持ちをぶつけ合うようになった。
端から見れば、犬猿の仲に見えただろう。
しかし私にとっては、初めての友が出来たようだった。