季節の足跡
「文書を書籍部に届けるのが、だろ?」
「…はい。隊長は言ってくれませんが、中には極秘の内容が書かれたものもあったでしょう?」
書籍を眺めていた隊長の瞳が、ゆっくりと僕を見上げた。
「何だユナ、見たのか」
「見てませんよッ!勘ですっ、勘っ!」
思わずムキになる僕を、隊長は苦い顔をしながらなだめた。
「わーかってるって。別にいい。お前のこと信頼してるし」
サラリとそう言って、また書類の作成に戻った隊長を見て、僕は目を丸くした。
…信頼。
されてたのか、僕。
正直、隊長はふざけながらも、すべき事は全て自分でしてしまうから、僕は信頼されてないんじゃないかって思ってた。
「あ…りがとう、ございます」
「おー」