季節の足跡
「あらー♪そうなの?楽しみだわ!」
「た、楽しみって…」
カタン、という音が響いた。
あたしと母が、驚いて振り返る。
「い…えで…!?」
「ユナ?」
そこにいたのは、あたしより二歳年下のユナ。
新しい父の息子。
血は繋がってないけど、大切な弟。
「ロード…家出するの?」
「こらっ、お姉ちゃんて呼びなさいって言ってるでしょ!? …って、話聞いてたの?」
まずい。
あたしはとっさにそう思った。
ユナはいつも、あたしにべったりだった。
それはもう可愛いくらいに。
家出じゃないけど、城で働くとなると…家で過ごせる時間も限られてしまう。
「…ユナ!家出じゃないのよ?ただ、お城で働きたいな~って…」
「じゃあ、僕も働く!」
あたしだけならず、母までも驚きだった。
母が、苦笑しつつもユナをなだめる。
「ユナちゃんは、お姉ちゃんが大好きだものね!でも、お城で働くには、ユナちゃんはまだ若いわよ?」