季節の足跡
俺は、一人っ子だった。
近所のやつらは、ほとんど兄弟がいて。
だからといって俺は、決して羨ましくなんかなかった。
強がりなんかじゃなく、本当に。
何故なら、親父がよく相手をしてくれたから。
親父は頭脳明晰で、かと言って堅苦しくなく、気さくで面白い。
親父は俺の憧れだった。
けど、いつからだったか。
親父は俺との口約束を守らないようになった。
楽しみにしていた旅行も、ほんの些細な遊びでさえも。
…期待や予想は、裏切られる為にある。
そう実感した。
それから俺は、期待を持たなくなった。
自分でも、悲しいと思うくらいに。