季節の足跡


―――カルム城執務室。



「わ―――!! 終わらない―――ッ」


「うるせぇ黙れ」


やれどもやれども増え続ける仕事に嫌気がさしたのか、突然叫び出したアイツに、俺は冷たく言い放った。


俺だって、お前の分を嫌々ながら手伝ってやってんだ。

叫びたいのはこっちの方。


「も―――ッ、ウィンは相変わらず冷たいしッ」


「不満ボヤいてる暇があったら、手を動かせ」


コイツ、俺より遅い。

何年王やってんだ。


「あーあ。補佐選ぶ日に戻って、選び直したいわ…」


机に伏せ、山積みの書類を虚ろな目で見つめながら呟かれた言葉に、俺はピクリと反応した。



―――補佐面接の日。


思えば、あのときから、俺は少しだけ変わり始めたのかもしれない。



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