季節の足跡
国王…父親が死んで、その役目を任された。
悲しみに暮れるか、傲慢になるかのどっちかだと思ってた。
けど、アイツは。
現実を受け止め、涙を堪える様子を微塵も見せなかった。
むしろ凛とした透き通るその声には、力強さを感じた。
自分に任せろと言うわけでもなく、他人に任せると言うわけでもなく。
絶妙な位置から、アイツはスタートした。
アイツのスピーチを聴いて、国民は過度な期待を抱いたわけでもなく、かといって大きな不安を抱いたわけでもなかった。
それは、アイツに出来た最善のスピーチだった。
そこで俺は、初めて"姫"に興味を抱いた。
それが最初のキッカケ。
ある日、新王補佐募集の知らせが国中に渡った。
それは、新王の力を見定めるのに、いい機会だと思った。