季節の足跡


ウェルス国の隅のほう。


貧しい村。

貧しい家。


そこで生まれたオレ。



別に自分の境遇を恨んではないよ。


逆に、こんな取り柄もない子供が生まれて、親父とお袋ゴメンナサイ。



かなりの面倒くさがり。

飽きっぽい。


うん、オレも認める。


たださ、それなりの毎日だったわけよ。


…親父が死ぬまではね。



マジで生活苦しいし、本当死ぬかと思った。


…けどさ、ここはウェルス。


あのウィリー王は、自分の国のどこで誰が死のうが、知ったこっちゃないって感じだよね。


こんな風に、自分の国に、その王に期待を持てなくて。

それって、とてつもなく悲しいことだなって思った。



でも、君のいる国は違った。

みんなキラキラ輝いててさ。


オレみたいな石ころでも、宝石みたいに輝けるんじゃないかって思ったんだ。



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