季節の足跡
「ねぇねぇ、アズロッ!これっ!どう思う?」
「いーんじゃない?」
「やっぱり?…あ、こっちもいいなぁ」
「いーんじゃない?」
「…ちょっと、真面目に答えてよ」
執務室。
何故だか仕事そっちのけで、ドレス雑誌を読み漁るフォーサス国女王。
…まぁ、隊長との結婚が決まったからね。
浮かれちゃってるね。
あ、隊長ってのは、ウェルス国第二王子のあの人。
その雑誌を見て、同意を求めてくる声に同じ言葉で答えてたら、怒られた。
正直、どれでもいいと思うんだけど。
自分で好きなの選べばいーのに。
…なーんて、口に出したが最後、オレ確実に殺られるね。
「君なら、何着ても似合うんじゃない?」
近くに無造作に置かれた、他のドレス雑誌を捲りながらそう言った。