季節の足跡

これは本音。


…なのに。


「お世辞は結構ですっ!」


舌を突き出して、そっぽを向く女王サマ。


どんだけオレの言葉って信用性ないわけ?


ため息をつきながら、雑誌を捲る手を止めると、その頁に写るドレスに目がいった。


…確か、初めて会ったとき。


こんな感じの服着てた気がする。



思えばあのときは、オレ、ウェルス臣下だったっけ。


んで、女王サマ暗殺係だったんだよね。


フォーサス国の女王サマがどんなひとなのか、一目見ておきたくて、つい正面玄関訪問しちゃったけど。


初めて会ったとき思ったのは、こんな小さいんだ、って。

わぁ美人ー、ってほどじゃないな、って。


失礼だけど。


…でも、噂通りだな、とも思ったよ。


優しく、それに心が強い。



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