季節の足跡

「ウェルスが、国の方針を変えてから、もう二年が経ったわ」


―――そう。


裏切り者の隊長を連れ戻しに、ウェルスへ行ったあのあと。


心機一転したウィリー王は、隊長と共にウェルス国を新たに創り変えていった。



支配下にしていた小国を解放し、謝罪金を与えた。

金で不正に臣下となっていた無能たちを切り捨て、実力がある者を臣下として迎えた。


冷徹とまで言われていたウィリー王は、面影は残るにしても、表情が柔らかくなった。


途端に、支持率がぐぐっと増え、ウェルスは生まれ変わった。



「…前にアズロがいたウェルスとは全然違う。この国にいるより…」


「何で?」


オレが遮ってそう訊ねると、彼女は視線をオレに向けた。


「…え?」


「それは君が決めることじゃないよ」



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