ネガイゴト
強く髪を掴み上げてから手を離すと、タカヤは痛そうに、繰り返し頭をさすった。

沼田の指に、何本もタカヤの髪が絡みついている。

それを神経質に、手を擦り合わせて払って、沼田はタカヤの肩を抱いた。

ゆっくり、さすりながら抱き寄せてやる。

それだけで緊張を解いて、タカヤは沼田に寄りかかってくる。
          
              
「な、タカヤ。初詣行くか?」

「ハツモウデ?」

「世間様は、正月なんだよ。ちったぁてめえにも、正月らしいことさせてやるよ」

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