ネガイゴト
沼田自身、初詣だの年賀状だのに興味はない。

ただ、なんとなく、タカヤには何かしてやりたくなった。

たった今、思いついたことだけれど。

元旦から、女のところでなく、タカヤのところに来てしまう時点で、少しばかり自分がいかれている自覚はあるけれど。
           
            
「おら、行くぞ、さっさと準備しろ、てめぇ」
          
                
不機嫌を装って、タカヤの頭をぐりぐりとかき回してから立ち上がる。

タカヤは、神経質そうに髪を両手で直してから、ふらりと立ち上がった。

沼田と目を合わせて、えへへぇと、蕩けそうに笑う。

コートも持たず、ハツモウデ、ハツモウデと口の中で言葉を転がしているタカヤに、沼田はハンガーからはずしたコートを、投げ付けた。

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