うちの所長知りませんか?
大恩寺さんの机は、なぜか妙に軽い。

座る時に足が当たったのだけど、簡単にずれてしまった。中身が入ってない?

「……あの、大恩寺さんは教科書とかは一切学校には残さないんですか?」

「? いえ、所長は極度のめんどくさがり屋なので、むしろ教科書類はすべて置き勉ですが」

「……机の中、空っぽなんですが?」

「そんなバカな……?」

答えた白鳥さんも、不知火の双子も目をしばたいた。

走り寄って来て、僕の脇から机の中を覗く。

僕も手を入れてたしかめてみたけど、プリントいちまい残されていなかった。

みぎくんが唸る。

「これは……三ノ宮先輩の言う通り、何者かが所長を監禁しているのかもしれませんね」

ただの普通高校なのに、物騒なことを言うなぁとは思ったものの、僕はうなずいていた。

「かもしれない。大恩寺さんがなにかしらのメッセージを残すことを恐れて、それなら持ち物ごとってわけだね」

ということは大恩寺さんを監禁しているのが校内の人間なのは間違いない、か。
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