うちの所長知りませんか?
だけど、ひとつ引っ掛かる。

「でも監禁されたのなら、なぜ白鳥さんのカバンにメモが入ってたのかな?」

「うーん、心配させないようにしたとかじゃないっちゃですか?」

「それならそもそも行方不明になるところから回避するでしょ」

真美ちゃんの仮定をやんわり否定し、僕は言った。

「大恩寺さんはもしかすると、自分がだれかに捕まって、監禁されれことを予測してたのかもしれない」

推理研究会の三人が、「ほぉー」という顔で僕を見ているけど……

いやいや、「ほぉー」じゃなくて、むしろアナタ方が率先して考えてくださいよ。

「とにかく、今日の大恩寺さんの足跡を辿ろう。白鳥さんにメモを残してるくらいなんだし、ひょっとしたらほかにもメッセージが残っているかも。急ごう!」

威勢よく立ち上がった僕に、真美ちゃんが小さく耳打ち。

「先輩、やけに張り切ってますっちゃねぇ?」

「当然でしょ。早く終わらせないと視察に間に合わないんだからさ」

「必死ですっちゃね」

僕的には、もう少し真美ちゃんにも焦ってもらいたいのが本心だ。
< 15 / 47 >

この作品をシェア

pagetop