うちの所長知りませんか?
向かったのは化学室で、大恩寺さんのクラスを担当している先生にも同行をお願いした。どのみち、先生がいないと鍵が開かないし。

「なんだあお前、あの大恩寺探してんのか? もっの好きだわなあ」

と、無精髭の化学教師は頭をボリボリ掻きながら化学室を開けた。ボリボリされた端からフケが飛んでる。思わず引いた。

化学室の中は、なぜか外より寒く感じる。ビーカーなんかを洗う蛇口が卓球台くらいある各台に備えられているから、空気が冷えるんだろう。

「大恩寺さんの席はどこですか?」

「あー、一番前のど真ん中だ」

テーブルは部屋に六つあって、たぶん、出席番号で順に座って班になる。

「大恩寺はあれで一応あったまいーからな。みんなン手本なるように前に置いてンだわ。ま、爆発起こされちゃ敵わんがな」

ちらりと化学教師の目が白鳥さんらに向く。所長が試験管を吹っ飛ばしたこともあって、三人はササッと目線を外した。
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