うちの所長知りませんか?
次に僕らが向かったのは体育館。もちろん、大恩寺さんが精神をめちゃくちゃに掻き乱してしまった体育教師に話を聞くためだ。

が、

「ああ、その先生な、もう帰ったんだ」

「え?」

まだ放課後になってそんなに経たないのに?

「それがマジでノイローゼになってな。病院に行かれたんだよ」

「な……」

恐るべし、大恩寺めもりの討論力……

後ろではまた真美ちゃんが「うあー」という顔をしていたし、推研の三人はバツが悪いせいか目をそらしていた。

「あの、大恩寺さんがどんなこと言ってたかわかりませんか? わかる先生、いません?」

「んなこと言われてもな……大恩寺の言葉は漢字が多いもんでな。なあ?」

と、先生が体育教官室の中を振り返る。

「あー、いかんいかん、アイツはなに言っとるかわからん」

「小難しい言い方ばっかですからな、アイツぁ」

返ってくるのは、そんな声ばかり。


先生方……バカですか!?

つまり、少しは聞いてたかもしれないけど、内容がわからないと?

理解できてないし記憶に残ってないと?

それでも教師か!?
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