うちの所長知りませんか?
体育教師のせいで心が疲労した僕を、真美ちゃんが、

「大丈夫ですっちゃぁ?」

と頭を撫でてくる。

撫で撫で、撫で撫でしてくる。

う、かわいい後輩ですよ彼女は、はい。

「水間真美くん、その辺でいいでしょう」

と、白鳥さんが切り上げを命ずる。どうやら彼女はだれでも『くん』づけで呼ぶらしい。

撫で撫でをやめた真美ちゃんに、僕はがんばってガッツポーズを取ってみた。

「ありがとう真美ちゃん、僕ちょっとパワー出た」

「おっ、ならよかったっちゃです♪」

「うん、部費もかかってるからね、早く解決しよう。ひだりちゃん、次はなんの教科だっけ?」

双子の妹が、クイ、とメガネを押し上げた。

「体育の次ですので、現国です。五時限目の英語教師も職員室で一緒に事情を聞けるはずです」

「えっ、ほんと? うわあいっ! 時間短縮っ、手間省略っ、ばんっざーいっ!!」

「先輩、喜びようがおいたわしいっちゃ」

真美ちゃん、ほっといてくれたまえ。
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