うちの所長知りませんか?
  スイケン
「『推研』の屈指の変人、その代表、大恩寺めもり。校内きっての異常者ですっちゃ」

ちなみに校内きっての変な口調だと思う彼女は、三間真美さん。

上から読んでも下から読んでも『ミママミ』になることも、研究会では言わないお約束だ。

少し舌を噛みそうな名前でもある。

「ええ、その大恩寺めもりを捜索してもらいたいのです」

と、木刀の彼女は言った。相変わらず、なぜか切っ先は僕らへ向いている。

「はあ、まあ、だれを探すかはわかったんですけど、なぜうちに?」

占い研究会が、どうして推理研究会の代表の居場所を知っているなんて思うんだろう?

「ええ、と申しますのは……」

ごそごそと、彼女がスカートのポケットへ手を入れる。

その時でさえ突きつけ続けられている木刀。

今さらながら、大恩寺めもりという人物の周囲も、……いや、その推理研究会というもの自体、変人ばかりで構成されているような気がした。

彼女がスカートから引っ張り出したのは、乱暴に引きちぎられたノートの切れ端だった。

そこに短く、書いてある。

『占い研究会の三ノ宮キリュウと協力して自分を探してくれ』

まさかの、この僕を名指しで。
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